当院で主に取り扱う疾患について
胆石症(胆嚢結石症)
胆石症とは
胆石症とは、胆嚢や胆管などに結石ができ、これが原因で腹痛、発熱などの様々な症状を呈する病気です。結石ができる場所によって胆嚢結石、総胆管結石、総胆管結石などと呼ばれております。近年、食生活の欧米化(動物性脂肪の摂取量の増加)に伴い、胆石患者が増えているといわれています。特に高齢者や女性に多くみられます。通常は、体内に胆石があっても症状がないことも多く、健康診断などで初めて指摘されることも少なくありません。
胆石の原因
肝臓で作られる胆汁の成分が種々の原因で溶けきらず、これらが石のように固まってしまうことが原因です。また、その他の原因としては、大腸菌の感染や溶血性疾患などが原因となることもあります。
胆石の症状
よくみられる症状としては、みぞおち(心窩部)や右の肋骨の下を中心とした痛みで、右の肩や背中の痛みを伴う場合もあります。 背中の痛みが主な症状の場合には、単に腰痛症として認識されていることもあります。疼痛の発作は、脂肪の多い食事を摂った後などに発症するケースがよく見受けられ、発熱、吐き気、嘔吐、黄疸(体が黄色く見えること。)などもよくみられる症状でしょう。症状が熱がのみの場合も高齢者などではみられます。単に”かぜ”として扱われていることもよく見受けられます。また、自覚症状はないのですが、健康診断などで採血をして、肝機能異常を指摘され、胆石症が発見される場合もございます。
検査・診断
胆石症の検査では、腹部超音波、腹部CT、MRCP(磁気共鳴胆管膵管造影検査)、ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査)などが行われます。これらの検査では胆嚢結石の有無のほかに胆石の大きさ、個数だけではなく、総胆管結石などの結石の有無(治療法が異なります。同時に治療を行うこともあります)などがわかります。
治療
胆石症で痛みや発熱などの症状がない場合は基本的には治療は行わず経過観察を行います。胆石の種類や大きさ、症状等によっては薬物治療(ウルソデオキシコール酸)が行われることもあります。疼痛、発熱などの症状がみられる場合は手術を行います。胆石症の手術では胆嚢ごと取り除く胆嚢摘出術が行われます。手術は腹腔鏡下手術が第一選択ですが、胆管の炎症が高度な状態(ミリッチ症候群など)では腹腔鏡下手術から開腹手術へ移行することもございます。
検査・診断
外来で手術を予定している場合(待期手術)は手術前に必要な検査を行い、手術前日に入院していただきます。退院までの期間は通常1~3日程度です。緊急入院や胆嚢炎を併発している時は、炎症を抑えるための治療を行なったり、追加の検査を行う必要があり、時間がかかることもございます。